外務省の「密約」問題に関する有識者委員会(座長・北岡伸一東大教授)は9日、日米間の4つの「密約」を検証した報告書を岡田克也外相に提出した。焦点となっていた昭和35(1960)年の日米安保条約改定時に、核兵器搭載艦船の寄港・通過を事前協議の対象外とする了解の有無について、「暗黙の合意」による「広義の密約」があったと結論付けた。
注目されていた44年の沖縄返還決定時の有事の際の沖縄への核再配備の「合意」の評価は、政府内で引き継がれていないことなどを理由に、密約と認定しなかった。しかし、岡田氏は同日の記者会見で、「一般的に考えると密約だ」と述べ、報告書と食い違う見解を示した。
また報告書は、35年の安保条約改定時の、朝鮮半島有事での在日米軍の自由出撃容認は合意文書に基づく「狭義の密約」と認定。47年の沖縄返還時の原状回復費肩代わりは「広義の密約」とした。
核兵器搭載の米艦船の寄港を容認する事実上の政府方針は、佐藤栄作内閣から海部俊樹内閣までの10内閣で引き継がれていたことが、同日に開示された日米の「核持ち込み密約」の関連文書で示された。
鳩山由紀夫首相は同日、非核三原則の扱いについて「三原則は従来通り堅持する。何も変える必要はない」と語った。さらに「米軍の核を含む抑止力は日米安保やアジア太平洋地域に必要だ。過去の密約が明らかになったことで、日米関係に影響を与えないように対処することが必要だ」と語った。
岡田氏は記者会見で、米国が艦船からの戦術核兵器撤去を表明した平成3年以前の日本への核持ち込みを「可能性は排除できない」とし、否定してきた歴代政権の見解を修正した。
報告書は、核搭載艦船寄港による「核持ち込み」に関し、35年の安保改定時、「寄港は持ち込みにあたらない」との米側解釈を日本側が認識しながら「意図的に明確化を回避した」と判断。昭和38年に大平正芳外相がライシャワー駐日米大使から米側解釈を説明されてから「広義の密約」として確定していったとした。
一方、沖縄への核核再持ち込みは、佐藤栄作元首相が署名した非公表の「合意議事録」が同氏邸から発見されたが、「日米両首脳の共同声明を大きく超える負担を約束するものではなく、密約とはいえない」とした。
【日米密約有識者委員会のメンバー】
北岡伸一東大教授(座長) 日本政治外交史
波多野澄雄筑波大教授 近代日本外交史
河野康子法政大教授 戦後日本政治史
坂元一哉大阪大教授 日米関係論
佐々木卓也立教大教授 米国外交史
春名幹男名古屋大大学院教授 国際報道論

